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ガチ登山温泉vol.1 @白馬鑓温泉

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温泉雑誌を眺めていると実に興味深い記事に出くわした。”白馬鑓温泉 - 歩いてしかたどり着けない北アルプスの絶景温泉” 。 なんと標高2100mに位置し雲海を眺めながら湯船に浸かる事が出来るのだという。調べてみるとこの白馬鑓温泉、冬は雪に埋もれてしまうので、あと一週間で営業を終えて冬篭りをするのだという。これは今行くしかない。そこで大学の友人3人と急遽この白馬鑓温泉を目指すことになったのだった。

第1章 猿倉⇒水芭蕉平

登山口は、白馬岳や「大雪渓」へ登るときの登山口にもなっている「猿倉」。広い駐車スペースがあるのでここに車を止めておくことが出来る。朝早くに猿倉に到着したせいか登山客はほとんど見当たらない。山小屋「猿倉荘」に登山届を提出し、我々は白馬鑓温泉を目指した。

白馬鑓温泉

白馬鑓温泉

猿倉から水芭蕉平までは緩やかな上り坂。下がごつごつとした石なので若干歩きにくい。森の中を少しずつ標高を上げながら歩いているだけなので、見渡しても木ばかりでつまらない。単調な上り坂と慣れない登山に疲労困憊し、徐々に皆の会話は減っていった。

白馬鑓温泉

白馬鑓温泉

猿倉から250mくらい登れば水芭蕉平に到着する。ゴールの白馬鑓温泉が標高2100mであるから、水芭蕉平の時点で全体の1/4くらいの標高を登っていることになる。森と地面と岩と単調な景色…空気はおいしいが飽きてくる道だ。登山から約30分で、水芭蕉平に到着である。

第2章 水芭蕉平⇒中山沢

水芭蕉平から先も森の中を進む単調な道である。道にある石がだんだん大きくなって岩になってとても歩きにくい。4人の会話はほとんど無くなりつつあった。途中で補給する水分が唯一の楽しみだ。皆ガムを噛んだりお菓子を食べながら無言で登る。ゴールがいったいどれくらい遠いのか検討がつかないのが一番恐ろしい。

白馬鑓温泉

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中山沢で、標高は1600mを超える。標高にすると半分近く登ったことになる。距離では1/3くらいだろうか。中山沢で、森ゾーンは終わりとなり、斜度の急な道に変わる。温泉にはまだまだ到着しない。

第3章 中山沢⇒大日向コル

中山沢からは、斜度が急になる。しんどさはぐっと上がるが、今までの歩きにくい単調な森ゾーンよりはずっとマシになる。視界も開け今まで通って来た森が一望出来るくらいの高さになる。遠くに見える大雪渓や山の尾根に残る雪が本当に美しい。今までのしんどさが全部消えていくようだ。

白馬鑓温泉

白馬鑓温泉

坂を登りきったところで、久々に休憩。登山道にちょうど丸太が横たわってたので、ここに腰掛けて休憩する。それぞれ水分補給と持ってきたお菓子を食べ、疲れを癒した。登山をはじめて約1時間半。こんなに長時間登山をしたことないので、登山はもうお腹いっぱいだ。

休憩した「丸太ポイント」を過ぎるとますます斜面が急になる。道が九十九折になっていて、その道がはるか高いところまで続いている。木の生えていない山の斜面をどんどん登っていくので景色は非常にいいのだが、登っても登っても急斜面。さらに朝に白馬鑓温泉を出た人に「こっからじゃまだ3時間くらいはかかるね」とすれ違いざまに宣告され、我々は絶望した。

白馬鑓温泉

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ゴールはまだまだ先だと聞き、落胆しつつも急な坂を登りきった先のお花畑のようなところで、昼食を取ることにした。登山開始から2時間経過。家で作ってきたおにぎりが実においしい。天候があまりよくないが、木がほとんど生えていないところで見通しがよかったのでのんびりご飯を食べた。標高も1800mくらいまで上がり、歩いていないと肌寒い。

白馬鑓温泉

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ご飯を食べ終わると、我々は再び歩き出した。だいぶゆっくり休んだので、足取りも軽やかだ。お弁当ポイントのあたりを少し登ると、お花畑は消え、再び木々の茂る森に変わり、そして森をしばらく歩くと池が見える。大日向コルである。登山開始から2時間半でようやく全行程の半分進んだようだ。

第4章 大日向コル⇒サンジロ

やっと残り半分となった。しかし、むしろまだ半分なのか、との気持ちのほうが強い。大日向コルからサンジロまでは、右に急斜面の山肌、左に絶壁というコースとなる。足を数歩踏み外せば数百メートルは滑落できそうであり、道も肩幅くらいしかない。我々は慎重に進んだ。このあたりは標高差はほとんど無く、山の斜面を等高線に沿って歩いていくといった感じである。登るしんどさはほとんどないのだが、断崖絶壁の登山道なので体力より集中力を消耗する。

白馬鑓温泉

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崖ゾーンは、きつい登りなどはほとんどなかったので、大日向コルから30分程度でサンジロに到着した。断崖絶壁の危うい道だったが、そこそこ景色もよく楽しめた。サンジロ到着は13時29分。登山口からは、ちょうどここで3時間。

白馬鑓温泉

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第5章 サンジロ⇒白馬鑓温泉

サンジロからは再び森に入り、この森を抜けると、雪渓の沢が続く登山道となる。

まず最初は、杓子沢。我々が行ったときには既に雪はなかったが、夏の終わりごろまで雪が残っているという。沢には橋がかけられており、難なく渡る事が出来る。この杓子沢付近で、香港から来たという大登山グループに出会う。かなり慎重に登っておられたので、急いで登っている我々は先を行かさせてもらう。かなりの重装備で、初心者の方もおられるのか慎重に慎重に一歩一歩登っていた。この方たちも今日は白馬鑓温泉に泊まるのだろうか。

白馬鑓温泉

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2つ目は、落石沢。ここは、名前の通り落石がよくあるとのことで落石に注意しながらすばやく渡らなければならない。沢を渡るために複数のルートが用意されているのだが、下のほうのルートは立ち入りを制限されていたので上のルートを進むことになった。岩がかなり多くて歩きにくい。確かに足を滑らせて岩ごと谷底に堕ちてしまいそうであった。

白馬鑓温泉

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この落石沢を越えた直後に、かなり急な下り坂があり、備え付けてあるロープを頼りにしなくては降りられないポイントがあるのだが、この坂でも香港グループの方が、なかなか降りられずに困っておられた。ここで香港グループの方が降りるのを20分ほど待つことになった。たしかにかなり急で、坂というよりも崖といった感じでありどんどん足が滑っていくのでかなり恐怖であった。

そしてこの崖を抜けると現われるのが第3の沢、「鑓沢」である。ここは大量の土砂が木々や草花を飲み込んでいてさながら工事現場を歩いているような感じであった。登山道も土砂の中をうっすらと道のようなものが延びているだけで、ちょっとでもがけ崩れが起これば道がどこにあるのかわからなくなりそうであった。この沢は結構広い。土砂ゾーンが続いた。

白馬鑓温泉

白馬鑓温泉

この3つの沢を越えると、遠くに見えていた白馬鑓温泉の山小屋がぐっと近くなってくる。杓子沢あたりから白馬鑓温泉の小屋はうっすらと遠くに見えていたのだが、遠すぎてあそこまで登らなくてはいけないのか、と心が折れそうになっていた。しかしここまでくればもう少し、あとちょっとで山小屋である。

最後の沢は、「湯沢」といい、我々の行った9月下旬でさえ、前年の雪がまだ残っていた。スニーカーで凍った雪の上を歩くのはとてもキツい。ここだけしか雪がなくて本当によかった。ほかの沢にも雪が残っていたらこの装備では進めなかっただろう。雪の上には、登山道を示すマークとしてアズキ色の塗料が塗られていた。これを目印に恐る恐る進む。

白馬鑓温泉

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この4つの沢を渡り終わると、あとは標高差が200m近くある急斜面を登りきるだけである。もう小屋は頭の上のほうにはっきりと見えてきている。このあたりは登山道の両側に花が咲き乱れ、とても美しい。最後の上り坂はかなり急で、最後の最後で心が折れてしまいそうになるが、このきれいな花たちに心が癒される。小屋は歩けば歩くほどどんどん近づいていく・・・。

そして、登山から5時間半が経過した、午後15時09分。我々は念願の白馬鑓温泉のある白馬鑓温泉小屋に到着する。長い道のりではじめての本格登山にしてはかなりハードであったが、今からこの疲れを癒す温泉に入れると思うと心が躍る。受付で宿泊の支払いをして、荷物を置いて、さあ、いよいよ、待ちに待った温泉へ。

白馬鑓温泉

白馬鑓温泉

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第6章 白馬鑓温泉

温泉は、景色が見渡せる混浴風呂と壁で囲われた女性専用風呂がある。混浴風呂は、すだれで囲われた通路を少し歩きのれんをくぐるとあり、脇に1畳程度の小さな脱衣場や何故か水の出ない蛇口もある。温度は少し熱めで、湯船の広さは10~12畳程度。枡のような洗面器は転がっているが残念ながら体を洗うことは出来ない。また、混浴と言いながらほぼ男性風呂となっている。というのも混浴風呂は湯船の直下を通る登山道や少し下ったところにあるキャンプ場から丸見えなのである。霧が出ていると眺めはよくないが、霧が晴れると白馬盆地を真下に見下ろすことができ、開放感が半端ではない。

白馬鑓温泉

白馬鑓温泉

露天風呂の真下には、無料で入れる足湯とキャンプ場が広がっている。真下を眺めると下から続いてくる登山道と足湯やキャンプ場が、すこし遠くを見ると白馬の盆地が、そして周りを見渡すとアルプスの山々を眺めることができる。どの風景を切り取っても、本当に美しい風景ばかりで心がとても癒される。

白馬鑓温泉

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24時間入ることが出来るので、夜中に入ることも出来る。夜中は白馬盆地の夜景が本当に美しい。私たちは見ることが出来なかったが、朝は日の出を見ながらの温泉にも入れるとのこと。ご来光を見ながらの温泉とは、うらやましい限りである。

白馬鑓温泉

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第6章 白馬鑓温泉小屋

白馬鑓温泉小屋は、7月から9月末まで営業しており、素泊まりなら6200円、一泊二食付きなら8900円で泊まることができる。小屋はプレハブで出来ていて冬は雪で押しつぶされる可能性があるので、冬季は解体してしまうという。訪れたのが冬季閉鎖の1週間前ということもあって、泊まったときは既に一部解体工事が始まっていた。

温泉の脇を登っていくとあるのが受付や食堂などがある小屋で、さらにそこから奥に進むと宿泊スペースがある。

白馬鑓温泉

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受付で「●●号室にお泊りください」と案内されるので、もしかして完全個室!?と淡い期待を抱くが、もちろんそんな訳は無い。他の山小屋などと同様に宿泊小屋の中には二段ベッドが廊下の左右に何列か連なっているだけで、ベッド(ブース)1つ1つに部屋番号が割り当てられている。宿泊客がそれほど多くなかったので1つのベッドを2人でシェアして寝ることになったが、多客期には1つのブースで10人以上寝ることもあるらしい。ベッド1つを10人で分け合うとは恐ろしい。このため、1つのブースには布団が10枚くらい積んである。

白馬鑓温泉

白馬鑓温泉

夕方になると夕食の時間。今回は素泊まりを選んだのだが、標高2000mの山中であの夕食にありつけることを考えると、プラス2000円はケチるべきじゃなかったなと後悔。みんなおいしそうに夕食を食堂で食べていた。

消灯は21時。街灯も何もないので消灯後は辺りは漆黒の闇となる。消灯後に星空とずっと遠くの方に見える白馬の小さな夜景を見ながら入る温泉は極上。ただ、消灯後の入浴は、寝ている他の方に迷惑にならないように部屋を抜け出さないといけないし、小屋から温泉までも懐中電灯無しだと全く何も見えないので気を遣う。また、夜は標高が高いのと隙間風だらけのプレハブ小屋で寝るときは本当に寒い。ベッドに山積みになっていた布団を何枚も重ねて寒さを防いだ。

ルートとアクセス

片道5時間も掛かる徒歩でしかたどり着けない温泉だが、その苦労の全てが吹き飛ぶほどの絶景がそこにはあった。秘湯という名にふさわしい極上の温泉である。登山口からの道のりは、本格登山初経験でもそれほど難しいと感じたり危ないと思う箇所はなかったが、滑落事故なども時々起こっているようなので、白馬鑓を目指される方は十分に計画を練って訪れて欲しい。

白馬鑓温泉の地図

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