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ガチ登山温泉vol.3 @阿曽原温泉と下の廊下

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第5章 十字峡⇒仙人ダム

13時44分十字峡着。黒部ダムから4時間弱の道のりだ。

十字峡は、黒部川に同時に2つの河川が合流している場所であり、文字通り川が十文字になっているため、十字峡と呼ばれている。登山道は、このうちの靱沢から流れてくる1つの川をつり橋で渡ることになるのだが、このつり橋を渡る少し手前に広い場所があり、ここで皆が休憩していた。この場所から2つの川が合流する地点が見え、風景も美しい。

ちなみに我々がここを訪れた2週間後くらいに、この場所で人が亡くなったらしい。「あーー。」という声と共に人影が消え、その後その人は川で変わり果てた姿で見つかったという。カメラに夢中になったり、油断していて足を滑らせると、死か軽くすんでも重症であろう。ここを訪れる方は、そういう危険が常に隣り合わせである登山だと言う事を念頭に入れて登山に挑んでいただけたら幸いである。

富山・黒部川で水死体の男性発見、登山中に滑落か

28日午後1時25分ごろ、富山県立山町芦峅寺の北アルプス・下ノ廊下十字峡付近(標高約970メートル)の黒部川で、金沢市***町、***職員、****さん(46)が倒れているのを登山客が見つけ、同県警山岳警備隊に届け出た。**さんはヘリコプターで近くの病院に搬送されたが、既に死亡していた。死因は水死。上市署の調べによると、同川上流付近を**さんと登っていた男性が同日午後0時20分ごろ、物音と一緒に**さんの姿が見えなくなったと話しており、同署では、**さんが登山中に滑落したとみている。(2007年10月28日23時40分 読売新聞)

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

十字峡のつり橋を過ぎれば、あとはひたすら断崖絶壁の登山道である。半月峡とそれに続くS字峡と呼ばれる部分であるが、白竜峡のように道なき道を行くのでは無く、ちゃんと岩壁を切り開かれた道を行くので、冷や冷やしながら歩く必要は無い。ただ、川との標高がだんだんと開いていき、100mくらいの標高差になるので、ふらふら歩いて落ちれば結果は間違いなく死である。

既に歩き始めて4時間以上歩き続けているので、歩くことに飽き、皆会話がなくなる。正直このあたりを歩いた記憶はおぼろげである。とりあえずしんどいのである。なぜこんなところを歩いているのか、そしていつになったら阿曽原温泉に着けるのか、何も分からぬままずっと歩き続けることほど苦痛なことは無い。少ししゃべっては誰もが黙りこくり、そしてまた話題が出ては皆黙ってもくもくと歩き続け・・・、を繰り返す。まだ着かない。まだ見えない。いったいいつになれば目的地に着くのだろうか。

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

このあたりは、本当に川との標高差があり、登山道からひょいと身を乗り出して下を覗き込まないといけないくらい川が下のほうにある。ここで仮に落ちても誰も救出してくれないだろうし、死んでしまっても誰も発見してくれないに違いない。そこを疲労困憊の状態で歩くのだから大変なものである。ちなみに私は、あまり高いところは好きではなく、●●タワーのようなところから真下を見ると怖くて仕方なかったのだが、この旅をきっかけに高いところが何も怖くなくなってしまった。「こんなに高いのに柵1つ無い!」そんな黒部を体験してしまうと、柵があるくせに怖いだなんて言ってられないのだ。高所恐怖症を克服したい人には、下の廊下はオススメだと言える。

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

しばらく歩くと右の山から2つの大きな口が見えてきた。関西電力の送電線の送出口である。黒部ダムは、貯水用のダムでもなく、観光用のダムでもなく、れっきとした水力発電のためのダムであり、ダムで取水された水はダムから太いパイプを通ってS字峡近くの山中(地下)に送られ、そこに位置する発電所のタービンをまわし、電力を生み出すのだ。発電所が山中にあるのは、国立公園内の景観や環境を守るという意味と、冬季雪から施設を守るという2つの意味があるらしい。つまり、我々がスタートした黒部ダムから、歩いてきた道に沿って(正確には対岸の山中を、だが)延々と配水管が流れており、S字峡付近でやっと電力に変えられてそれを運ぶ送電線が地上に姿を現すのである。

ちなみに、黒部ダム側からこの発電所までは長大な山岳トンネルが掘られており、バス等で従業員が行き来しているという。またこれから我々が向かう旅のゴール地点「欅平」からこの発電所までもこれまた長大なトンネルが掘られており、このトンネルの中をトロッコ電車が資材を運ぶために運行されている。地上からは何も見えないが、この奥深い山中の中にいろいろな人工物が埋まっているのである。人間の力というものはすごいものだ。

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

この送電線トンネルを横目に少し歩くと、道は急に下りとなる。さっきまで川まで100m以上もあったのが、斜面を転がり落ちるように登山道を降りていった結果、いつのまにか川岸まで降りてしまう。川岸まで降りるとつり橋がかかっており、水量も多くなり川幅も広くなった黒部川を、一気に対岸まで渡ることになる。

この東谷吊橋からは急に人工的な道のつくりになり、コンクリート製のトンネルがあったり、なんと山中に作業用トラックがいたりする。仙人ダムと呼ばれる関西電力のダムがあるからなのだが、今まで過酷な道を、北アルプスの秘境を何時間も歩いてきたのに、急に人工物だらけになりトラックまで出現すると面食らってしまう。このトラックはどうやって運んだのだろうか。発電所からもそれほど遠くなく、関西電力の作業用と思われるトンネルもいくつか穴があいていたので、そこから運び入れたのだろうか。

つり橋を渡り、人工的なトンネルを通り、トラックの存在に驚愕していると到着するのが仙人ダムである。青々としたダム湖が美しい。このダムの築堤を対岸に再び渡り、黒部峡谷鉄道上部鉄道を横切り、さらに作業員用のトンネルを歩くと、巨大な関電の宿舎が現れる。この秘境に5階建てくらいの建物が建っているのを見て再び面くらうわけだが、この建物に加え欅平からこの仙人ダムと発電所を経て黒部ダムにいたるまでトンネルが彫られていることが全く信じられない。関西電力の方はトンネルを通って、そしてこの建物で寝泊りして電気の安定供給に勤めておられるのであろうが、すごいものだ。

ちなみにこの上部鉄道は、毎年抽選で試乗会をやっているらしいので、是非それにチャレンジしてみたいものだ。我々が歩いた部分を地下山岳トンネルで駆け抜けみたい。そして黒部の発電所をいつかこの目で見てみたいものである。

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

阿曽原温泉と下の廊下 十字峡⇒仙人ダム

仙人ダムから再び恐ろしい斜面になるが、これを登り再び水平歩道まで戻れば、阿曽原温泉も目の前だ。本日の宿泊地阿曽原温泉までがんばらなくては。

十字峡⇒仙人ダムの地図

第6章 阿曽原温泉

仙人ダムから阿曽原温泉までは、130mの斜面を水平歩道まで駆け上り、そして再び断崖絶壁の道をしばらく歩き続けることになる。もうこの時点でくたくたで誰も言葉を発しない。いつ着くのかしか考えられず、小さな小石にすらつまずく有様なのだが、歩き続けないことには目的地には着かない。皆もくもくと、ただひたすらゴールを目指して歩いていく。

阿曽原温泉と下の廊下 阿曽原温泉

阿曽原温泉と下の廊下 阿曽原温泉

阿曽原温泉と下の廊下 阿曽原温泉

阿曽原温泉と下の廊下 阿曽原温泉

そして、ダムから1時間半で念願の阿曽原温泉に到着する。

宿泊予約をしていないので、急いで宿泊を申し込む。事前に電話はしたのだが「既にいっぱいなので予約は賜れませんがとりあえず来てください」と言われたのだ。宿主の方が言われるには、ギリギリ我々の分まで部屋が空いていたらしい。あと数分遅れて到着していれば、食堂で寝ることになっていたので非常に危ないところであった。

ちなみに、黒部ダムからはちょうど8時間くらいで到着したのだが、このペースは上出来とのことだ。登山経験が無い者が登山靴も履かずにこの時間で到達できたということは驚愕に値するとのこと。まあ、褒められてるのかよく分からないが、下駄箱にスニーカーなど一足も無く全部登山靴なところを見ると、スニーカーで現れた若者は相当異色の存在なのだろう。下駄箱に我々4人分だけスニーカーが並んでいるのは、とても恥ずかしかった。登山靴くらい買うべきだったのであろう。

阿曽原温泉と下の廊下 阿曽原温泉

阿曽原温泉と下の廊下 阿曽原温泉

阿曽原温泉と下の廊下 阿曽原温泉

阿曽原温泉と下の廊下 阿曽原温泉

阿曽原温泉は、プレハブ製の大きな建物が1つで、そこに寝床となる大広間が4つほどあり、ここに布団を敷いて1つの布団に2人で寝ることになる。また、台所と食堂が入り口付近にあり、宿主ご自慢のカレーが晩飯として振舞われる。しかもおかわり自由なのである。ご主人が自分の畑で有機栽培してるものを持ってきているらしい。なかなか気さくなご主人で素敵だった。この大広間と食堂等がある建物の下には、キャンプ場がありここで休んでいる人もいた。キャンプの人はテントとかも持ち込まなければならないので、装備が大変である。皆重装備すぎて、我々の装備が本当に情けなくみえてしまった。

阿曽原温泉ご自慢の露天風呂は、このキャンプ場の横にあるのだが、本来使っている温泉は改修中らしく仮設の温泉に入ることになった。広さは二畳ほど。しかし、黒部の渓谷を見ながら、一日の疲れを癒せるのは本当に良い。これほど温泉が気持ちよかったのはこれまでなかったというくらい素敵であった。男女時間別交代制で、今日宿泊する人が入れ替わり立ち代り入りに来るので、マッタリのんびりとするわけにはいかないのだが、非常にリフレッシュできるとてもいい温泉だった。詳しくは、「温泉ヱビス - 阿曽原温泉『露天風呂』」をご覧いただきたい。

阿曽原温泉と下の廊下 阿曽原温泉

阿曽原温泉と下の廊下 阿曽原温泉

本日はここで休み、明日は4時頃に起きて出発である。早く出発しないとトロッコ列車に乗れないこともあるらしい。ゆっくり休んで明日に備えるとしよう。

阿曽原温泉の地図

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